最終更新日 2025年9月28日 by eliyeliy
「最近、食事中にむせやすくなったかも…」
「なんだか滑舌が悪くなった気がする…」
もし、そんな風に感じることが増えたなら、それはお口の機能が少し衰えてきているサイン、「オーラルフレイル」かもしれません。
こんにちは!
予防歯科インストラクターの井上佳奈です。
歯科衛生士として12年間、これまで8,000人以上の方のお口の健康をサポートしてきました。
「フレイル」と聞くと、なんだか自分にはまだ関係ない遠い話のように聞こえますよね。
でも、実はオーラルフレイルは、気づかないうちに静かに始まっていることが多いんです。
でも、安心してください!
この記事では、ご自身のお口の状態を簡単にチェックする方法から、今日から始められるお口の筋トレまで、私がしっかりナビゲートします。
この記事を読み終える頃には、あなたもお口の健康を守るための具体的な一歩を踏み出せるはずです。
一緒に楽しくケアして、未来の自分のために「健康寿命」を延ばしていきましょう!💪
目次
もしかして私も?オーラルフレイル簡単セルフチェック
まずは、今のあなたのお口の状態を客観的に見てみましょう。
難しく考えず、直感で答えてみてくださいね。
さあ、一緒にチェックしましょう!
3つ以上当てはまったら要注意!
以下の質問に「はい」「いいえ」で答えてみてください。
- 半年前と比べて、硬いものが食べにくくなった(するめイカ、たくあんなど)
- お茶や汁物などを飲んでいるときに、むせることがある
- 義歯(入れ歯)を使っている
- 口の渇きが気になることがある
- 半年前と比べて、外出する頻度が減った
- さきイカ、たくあんくらいの硬さの食べ物を噛むことができる
- 1日に2回以上、歯を磨いている
- 1年に1回以上、歯医者さんに行っている
いかがでしたか?
実はこれ、日本歯科医師会などが推奨している簡単なチェックリストなんです。
前半の「はい」が多かったり、後半の「いいえ」が多かったりして、合計3つ以上当てはまる項目があった方は、オーラルフレイルの可能性が少し高まっているかもしれません。
なぜオーラルフレイルが危険なの?
「ちょっと食べにくいだけ」「少しむせるだけ」と軽く考えてしまうかもしれません。
私自身も、矯正治療をしていた時は本当に食べ物が噛みにくくて、柔らかいものばかり選んでいた時期がありました。
あの状態がずっと続いたら…と考えると、オーラルフレイルの怖さがよく分かります。
お口の機能が衰えると、まずしっかりと噛むことができなくなります。
すると、柔らかいものばかり食べるようになり、栄養が偏りがちになってしまうんです。
さらに、飲み込む力(嚥下機能)が弱まると、誤嚥(ごえん)といって、食べ物や唾液が気管に入りやすくなります。
これが原因で起こる「誤嚥性肺炎」は、命に関わることもある怖い病気です。
オーラルフレイルは、単なるお口の問題ではありません。
全身の筋力が低下する「サルコペニア」や、心身の活力が低下する「フレイル」へとつながり、最終的には健康寿命を縮めてしまう入り口なんです。
でも、大丈夫。
筋肉がトレーニングで鍛えられるように、お口の機能もトレーニングで維持・向上させることができるんですよ!
今日から始める!お口の元気を取り戻す3つの「筋トレ」
ここからは、私がセミナーなどでもよくお伝えしている、簡単で効果的なお口の筋トレを3つご紹介します。
テレビを見ながらでも、お風呂の中でもできちゃいます。
大切なのは「続けること」。
「続けられるケアこそ最強」ですからね!😊
①唾液力アップ!「唾液腺マッサージ」
お口の渇きは、虫歯や歯周病のリスクを高めるだけでなく、食べ物を飲み込みにくくする原因にもなります。
唾液腺を優しくマッサージして、唾液の分泌を促しましょう。
食事の前に行うのが特に効果的ですよ。
- 耳下腺(じかせん)マッサージ
耳の前あたり、上の奥歯の近くに人差し指から小指までの4本をそろえて当てます。
後ろから前に向かって、優しくクルクルと10回ほど円を描くようにマッサージします。 - 顎下腺(がっかせん)マッサージ
顎の骨の内側の柔らかい部分に親指を当てます。
耳の下から顎の先まで、3〜4箇所に分けて、それぞれ5回ずつ優しく押します。 - 舌下腺(ぜっかせん)マッサージ
両手の親指をそろえて、顎の真下のくぼみに当てます。
舌を上に押し上げるように、グーっと10回ほどゆっくり圧迫します。
②食べる力を鍛える!「パタカラ体操」
「パ」「タ」「カ」「ラ」という発音は、それぞれ唇、舌、喉の奥を使う、お口の機能にとってすごく大切な動きなんです。
これを意識して発音することで、食べる力や飲み込む力を総合的に鍛えることができます。
- 「パー」と、唇をしっかり閉じて破裂させるように発音します。(5回)
- 「ター」と、舌先を上の前歯の裏側にしっかりつけて発音します。(5回)
- 「カー」と、舌の付け根を喉の奥に引きつけるように発音します。(5回)
- 「ラー」と、舌先を丸めて、上の前歯の裏側を弾くように発音します。(5回)
- 最後に「パ・タ・カ・ラ」と続けて、一連の動きで5回繰り返します。
滑舌が良くなる効果も期待できるので、大事なプレゼンの前などにもおすすめですよ!
③口呼吸を改善!「あいうべ体操」
口がポカンと開いていることが多い方は、口呼吸になっているかもしれません。
口呼吸は、お口の乾燥や歯並びの悪化、感染症のリスク増加など、良いことが一つもありません。
この体操で舌や口周りの筋肉を鍛えて、自然な鼻呼吸を促しましょう。
- 「あー」と、口を大きく開きます。
- 「いー」と、口を横に大きく広げます。
- 「うー」と、唇を前に強く突き出します。
- 「べー」と、舌を下に思いっきり伸ばします。
この「あ・い・う・べ」を1セットとして、1日に30セットを目標にやってみましょう。
最初はきついかもしれませんが、慣れてくると顎のラインがスッキリしてくるという嬉しい声も聞きますよ✨
筋トレ効果を最大化する!毎日の食事で意識したいこと
お口の筋トレと合わせて、毎日の食事も少しだけ意識を変えてみましょう。
ちょっとした工夫が、お口の機能を守る大きな力になります。
「噛みごたえ」をプラスワン!
現代の食事は、柔らかくて食べやすいものが増えていますよね。
もちろん、それも美味しいのですが、意識的に「噛む」回数を増やすことが大切です。
- 食材の切り方を変える: 野菜などを少し大きめに切るだけで、自然と噛む回数が増えます。
- 根菜やきのこ類を取り入れる: ごぼう、れんこん、きのこ類など、食物繊維が豊富な食材は噛みごたえがあります。
- ナッツや小魚をおやつにする: おやつの時間に、噛むことを意識できるものを選んでみましょう。
無理に硬いものを食べる必要はありません。
いつもの食事に、少しだけ「噛みごたえ」をプラスする意識を持ってみてくださいね。
バランスの良い食事がお口の健康の土台
お口の筋肉や歯を支える骨も、体の一部です。
当然、体を作る栄養素が不可欠になります。
特に、筋肉の材料となるたんぱく質はとても重要です。
お肉、お魚、卵、大豆製品などを、毎食どれか一つは取り入れるように心がけましょう。
いろいろな食材をバランス良く食べることが、巡り巡ってお口の健康、そして全身の健康につながっていきます。
よくある質問Q&A
最後に、皆さんからよくいただく質問にお答えしますね。
Q1. どのくらい続ければ効果が出る?
A1. 効果の感じ方には個人差がありますが、まずは3ヶ月を目標に続けてみてください。
大切なのは、毎日少しずつでも良いので「習慣」にすることです。
歯磨きとセットにするなど、生活の一部に組み込んでしまうのがおすすめですよ。
Q2. 子どもや若い人には関係ない?
A2. 全くそんなことはありません!
むしろ、若い頃からの習慣が、将来のオーラルフレイルを予防します。
最近は、柔らかいものを好んで食べるお子さんも多く、噛む力が十分に育っていないケースも見られます。
ご家族みんなで「あいうべ体操」などをやってみるのも、楽しくて良いかもしれませんね。
Q3. おすすめのセルフケアグッズはありますか?
A3. 唾液腺マッサージの効果を高めるために、保湿ジェルを指につけて行うのもおすすめです。
ドラッグストアなどで手に入るもので十分ですが、キシリトール配合のものや、香りが強すぎないものを選ぶと使いやすいでしょう。
また、舌の筋肉を鍛える専用の器具などもありますが、まずは今回ご紹介した体操をしっかりやってみることが第一歩です!
まとめ
今回は、オーラルフレイルのチェック方法と、お口の機能を維持するための簡単な筋トレについてお話ししました。
- ささいな口の衰え「オーラルフレイル」は健康寿命を縮めるサイン
- まずはセルフチェックで自分のお口の状態を知ろう
- 「唾液腺マッサージ」「パタカラ体操」「あいうべ体操」で口の筋力アップ
- 食事に「噛みごたえ」をプラスして、筋トレ効果をさらに高めよう
お口の健康は、全身の健康の入り口です。
そして、毎日のセルフケアは、未来の自分への最高のプレゼントだと私は信じています。
今日ご紹介した筋トレは、どれも本当に簡単なものばかりです。
ぜひ、今日から一つでも良いので始めてみてください。
その小さな一歩が、10年後、20年後のあなたの元気と笑顔を守る大きな力になりますから。
一緒に、楽しく続けていきましょうね!