最終更新日 2025年6月26日 by eliyeliy

「朝起きると、なんだか喉がイガイガする…」。
「集中していると、無意識に口がポカンと開いているって指摘された」。

こんにちは!
歯科衛生士の井上佳奈です。

実はそれ、お口からの危険信号かもしれません。

歯科衛生士として12年間、8,000人以上の方のお口を見てきましたが、多くの方が無意識に行っている「口呼吸」が、虫歯や歯周病の大きな原因になっている場面を何度も目にしてきました。

口呼吸は、あなたが思っている以上に多くのリスクを抱えています。
でも、安心してください。

この記事では、口呼吸がなぜ危険なのか、そして誰でも今日から簡単に始められる「鼻呼吸」への改善トレーニング法を、私の経験を交えながら徹底的に解説します。
この記事を読み終える頃には、あなたもきっと「鼻呼吸って最強のセルフケアかも!」と感じているはずですよ。

一緒にチェックしていきましょう!

口呼吸がもたらす歯と健康への影響

「口で呼吸するくらい、大したことないでしょ?」と思っているなら、それは大きな誤解です。
お口は本来、食事や会話をするための器官。
呼吸は「鼻」が担当なんです。

口呼吸が習慣になると、お口の中だけでなく、全身にさまざまな悪影響が出てきます。

虫歯・歯周病になりやすくなる理由

私たちの唾液って、実はすごいパワーを持っているんです。
口の中の汚れを洗い流したり(自浄作用)、細菌の活動を抑えたり(抗菌作用)する、天然のデンタルリンスなんですよ。

でも、口呼吸で口の中がカラカラに乾くと、この唾液のパワーが半減。
虫歯菌や歯周病菌が繁殖し放題の環境になってしまい、毎日しっかり歯磨きしていても、虫歯や歯周病になりやすくなってしまうんです。

口臭・歯並び・口内乾燥への悪影響

唾液が減ると、細菌が増えて口臭もきつくなります。
マスクの中のニオイが気になる方は、口呼吸が原因かもしれません。

さらに、歯並びにも影響が。
本来、私たちの舌は上あごにピタッと収まっているのが正しいポジション。
でも口呼吸だと舌が下がり、その重みで下の前歯を前に押し出してしまったり、頬の筋肉とのバランスが崩れたりして、歯並びが悪くなることがあるんです。
私自身、矯正治療を経験したのですが、この「舌の位置」がどれだけ大事か、身をもって痛感しました…。

免疫力・集中力への影響も!?

鼻には、吸い込んだ空気のウイルスやホコリを取り除く「フィルター機能」があります。
いわば、高性能な空気清浄機ですね。

口呼吸だと、このフィルターを通さずに汚れた空気が直接喉や肺に入ってきてしまいます。
その結果、風邪をひきやすくなったり、アレルギー反応が出やすくなったりと、免疫力の低下につながるんです。

また、口呼吸は浅い呼吸になりがちで、脳に届く酸素が少なくなることも。
「なんだかボーっとする」「集中力が続かない」といった悩みも、実は呼吸の仕方が関係しているかもしれません。

子どもの発育と口呼吸の関係

特に注意したいのが、お子さんの口呼吸です。
成長期に口呼吸が続くと、あごの骨が正常に発達せず、「アデノイド顔貌」と呼ばれる、口元がポカンと開いた独特の顔つきになってしまうことがあります。

また、睡眠中のいびきや無呼吸の原因にもなり、質の良い睡眠が妨げられることで、成長ホルモンの分泌に影響が出る可能性も指摘されています。

鼻呼吸のメリットとは?

では逆に、しっかりと「鼻呼吸」ができるようになると、どんな良いことがあるのでしょうか?
口呼吸のデメリットを裏返すだけで、こんなにたくさんのメリットがあるんです!

  • 【ウイルス対策】 鼻のフィルター機能が働き、風邪や感染症にかかりにくくなる。
  • 【お口スッキリ】 唾液がしっかり循環し、虫歯・歯周病・口臭を予防できる。
  • 【睡眠の質アップ】 深い呼吸でいびきが軽減し、ぐっすり眠れて目覚めもスッキリ。
  • 【美容・姿勢にも】 口周りの筋肉が引き締まり、フェイスラインがシャープに。自然と姿勢も良くなる効果も期待できます。

まさに、いいこと尽くしですよね。
鼻呼吸は、お金をかけずにできる「最強の予防ケア」なんです。

口呼吸セルフチェック&原因の探り方

「もしかして、私も口呼吸かも?」と思ったあなた。
簡単なセルフチェックで確認してみましょう!

簡単!自宅でできるチェック方法

いくつ当てはまりますか?

  • [ ] 朝起きると、喉が痛かったり、ヒリヒリしたりする
  • [ ] 唇がいつもカサカサに乾いている
  • [ ] 無意識のうちに、口が「ポカン」と開いている
  • [ ] いびきをかく、または歯ぎしりをすると言われる
  • [ ] 食べるときにクチャクチャと音を立ててしまう
  • [ ] 口内炎がよくできる

1つでも当てはまったら、口呼吸の可能性があります。
特に2つ以上当てはまる方は、要注意ですよ!

NG習慣「ポカン口」になってない?

スマホを見ているとき、テレビを見ているとき、仕事に集中しているとき…。
ふと気づくと、口が半開きになっていませんか?
この「ポカン口」こそ、口呼吸のサインです。

アレルギーや骨格、舌のクセが原因かも

口呼吸の原因は、単なるクセだけではありません。

  • 鼻の疾患: アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎(蓄膿症)などで鼻が詰まっている。
  • 歯並び・骨格: 出っ歯や受け口などで、物理的に口が閉じにくい。
  • 口周りの筋力低下: 口を閉じる筋肉(口輪筋)や舌の筋力が弱い。

もし鼻づまりがひどい場合は、まずは耳鼻咽喉科で相談することも大切ですよ。

今日からできる!鼻呼吸トレーニング

原因がわかったら、さっそく改善トレーニングを始めましょう!
私が患者さんにも指導している、簡単で続けやすい方法をご紹介しますね。

基本の「鼻呼吸意識トレ」

まずは何より「意識する」ことが第一歩。
「今は鼻で呼吸してるかな?」と、一日に何度も自分に問いかけてみてください。

デスクに「鼻呼吸!」と書いた付箋を貼っておくのも、意外と効果的ですよ。

ベロの位置を整える「舌トレ」も大事

舌の正しいポジションは上あごです。
具体的には、上の前歯のすぐ後ろにある、少しザラっとしたふくらみ(スポットと呼びます)に舌先を軽くつけておくのがベスト。

このポジションをキープするために、舌の筋肉を鍛える「舌トレ」をやってみましょう!

あいうべ体操

テレビでも話題になった、口周りの筋肉を鍛える有名な体操です。

  1. 口を「あー」の形に大きく開く
  2. 口を「いー」の形に横に大きく広げる
  3. 口を「うー」の形に強く前に突き出す
  4. 最後に「べー」と舌を思い切り下に伸ばす

これを1セットとして、1日30セットを目標にやってみましょう。
お風呂の中やトイレなど、リラックスできる時間に行うのがおすすめです。

シャカシャカ体操!?簡単セルフエクササイズ

私がオリジナルで「シャカシャカ体操」と呼んでいるエクササイズもご紹介しますね。
これは口を閉じる筋肉「口輪筋」をダイレクトに鍛えるトレーニングです。

  1. 唇をしっかり閉じて、軽く前に突き出す
  2. 閉じたままの唇を、上下に「シャカシャカ」と細かく震わせる(10秒)
  3. 今度は左右に「シャカシャカ」と細かく震わせる(10秒)

最初は難しく感じるかもしれませんが、口周りがポカポカしてきたら効いている証拠です!

寝るときは口テープもあり◎

日中意識できても、寝ている間は無意識になってしまいますよね。
そんな方には、市販の「口閉じテープ(マウステープ)」がおすすめです。

唇の中央に縦に1枚貼るだけで、睡眠中の口開きを防ぎ、自然と鼻呼吸を促してくれます。
私も出張先のホテルなど、乾燥が気になるときは必ず使っています。

市販アイテム比較:続けやすさ&コスパ重視で!

口閉じテープも色々な種類があります。
私が選ぶときのポイントをまとめたので、参考にしてください。

種類特徴こんな人におすすめ私の推しポイント
医療用テープ素材肌に優しく、かぶれにくい。粘着力はマイルド。敏感肌の人、初めて使う人まずはコレ!肌トラブルが一番怖いから安心感を重視。
強粘着タイプ朝まで剥がれにくい。少し刺激が強いものも。寝相が悪い人、ヒゲがある男性剥がれちゃうと意味がない!という人向け。保湿してから貼るのがコツ。
X字・特殊形状唇をしっかり固定。呼吸のしやすさも考慮。違和感が気になる人フィット感が良いものが多い。色々な形を試して自分に合うものを見つけて!

ドラッグストアやネットで手軽に買えるので、ぜひ試してみてくださいね。

親子で楽しく!子どもの鼻呼吸習慣づくり

お子さんの「お口ぽかん」が気になる親御さんへ。
叱るのではなく、遊びながら楽しくトレーニングするのが一番です。

「お口ぽかん」予防のポイント

  • 食事中は、一口入れたらお口を閉じて、鼻で息をしながらよく噛むように声かけする。
  • テレビを見ているときなど、口が開いていたら「お口チャックね」と優しく教えてあげる。
  • 鼻が詰まっているようなら、小児科や耳鼻科に相談する。

遊び感覚でできる呼吸トレーニング

  • シャボン玉: 鼻から息を吸って、口からそーっと吹く練習に。
  • 風船ふくらまし: 口周りの筋肉を鍛えるのに最適!
  • 吹き戻し(ピロピロ笛): 楽しみながら自然と口輪筋が鍛えられます。

食事や姿勢の工夫も大切です

少し歯ごたえのある食材を取り入れて「よく噛む」習慣をつけることも、あごの発達と口周りの筋肉を育てるのにとても重要です。
また、食事中の姿勢が悪いと口が開きやすくなるので、足が床につく高さの椅子に座らせてあげるなどの工夫も大切ですよ。

まとめ

最後に、今日のポイントをもう一度おさらいしましょう。

  • 口呼吸は、虫歯・歯周病・口臭・歯並びの悪化だけでなく、免疫力の低下など全身の健康にも影響する。
  • 鼻呼吸には、ウイルス対策、口腔環境の改善、睡眠の質向上など、たくさんのメリットがある。
  • まずはセルフチェックで自分の状態を知り、「舌の正しい位置」を意識することから始めよう。
  • 「あいうべ体操」や市販の口閉じテープなどを活用して、無理なくトレーニングを続けよう。

口呼吸から鼻呼吸へ。
この小さな変化が、あなたの未来の健康を大きく左右します。

鼻呼吸は、誰でも、いつでも、どこでも始められる「最強の予防ケア」です。
ぜひ今日から、楽しみながらトレーニングを続けて、未来のための「お口の健康貯金」を始めてみませんか?