最終更新日 2025年8月27日 by eliyeliy

「あれ、歯磨きしたら血が…」なんて経験ありませんか?。
実はそれ、お口からの大事なSOSサインかもしれません。

こんにちは!
歯科衛生士の井上佳奈です。
12年間で8,000人以上の方のお口を見てきましたが、多くの方がこのサインを見過ごしがちなんです。

この記事では、なぜ歯磨きで血が出るのか、それが歯周病とどう関係しているのかをプロの視点で解説します。
さらに、今日からお家でできる簡単なセルフチェック方法と、「続けられる」ケアのコツを、市販品レビューも交えて具体的にお伝えしますね。

一緒に楽しくチェックして、健康な歯ぐきを取り戻しましょう!

目次

なんで血が出るの?歯ぐきからのSOSサインを解読

歯磨きのたびに出血すると、なんだか不安になりますよね。
でも、原因が分かれば、きちんと対策できます。
まずは、なぜ血が出るのかを一緒に見ていきましょう。

歯科衛生士が解説!出血のほとんどは「歯肉炎」のしるし

歯磨きで血が出る原因のほとんどは、歯ぐきの炎症、つまり「歯肉炎(しにくえん)」です。
これは、歯周病のほんの初期段階。

歯の表面についたネバネバした汚れ、これが「歯垢(プラーク)」の正体です。
この歯垢の中にいる細菌が毒素を出して、歯ぐきが炎症を起こしてしまうんです。

炎症を起こした歯ぐきは、少しの刺激にも敏感になっています。
だから、歯ブラシが当たっただけで簡単に出血してしまうんですね。
私がこれまで見てきた8,000人以上の方のお口でも、歯磨き時の出血のほとんどは、この歯肉炎から始まっていました。

歯周病だけじゃない!出血の意外な原因

もちろん、出血の原因は歯肉炎だけではありません。
以下のようなケースも考えられます。

  • 強すぎるブラッシング:ゴシゴシと力を入れすぎると、健康な歯ぐきも傷つけてしまいます。
  • ホルモンバランスの変化:妊娠中や思春期は、ホルモンの影響で歯肉炎になりやすくなることがあります。
  • 特定の薬の服用:血液をサラサラにする薬などを飲んでいると、出血しやすくなる場合があります。
  • 合わない被せ物や詰め物:段差があると汚れが溜まりやすく、炎症の原因になります。

私自身も、矯正治療をしていた時期は器具の周りが磨きにくくて、よく出血していました。
「磨きにくい場所」があると、どうしても汚れが残って炎症が起きやすくなるんですよね。
あなたの出血の原因は、どれに当てはまりそうでしょうか?

【歯科衛生士とチェック】あなたの歯周病リスクは?5つのサイン

「もしかして私も歯周病かも…?」と不安になった方、大丈夫です。
今から一緒に、お口の状態をチェックしてみましょう。
鏡を手に取って、じっくり観察してみてくださいね!

サイン1:歯ぐきの色と腫れを鏡で見てみよう

まずは歯ぐきの色と形です。
健康な歯ぐきは、キュッと引き締まったきれいなピンク色をしています。

一方で、炎症を起こしている歯ぐきは、赤っぽく腫れてブヨブヨした感じになります。
歯と歯の間の歯ぐきが、丸みを帯びていませんか?
これが一番分かりやすいサインです。

サイン2:朝起きた時のお口のネバつき

朝起きたとき、お口の中がネバネバする感じはありませんか?。
これは、寝ている間に歯周病菌が増殖しているサインかもしれません。

唾液にはお口の中を洗い流す作用がありますが、就寝中は唾液の分泌が減ってしまいます。
そのため、細菌が活発になり、ネバつきや不快感として現れることがあるんです。

サイン3:口臭が気になる、または指摘された

歯周病菌は、繁殖するときに「メチルメルカプタン」というガスを発生させます。
これが、ゆで卵が腐ったような独特の臭いの原因。

自分では気づきにくいことも多いので、ご家族など親しい人に「最近、口の臭いどうかな?」と正直に聞いてみるのも一つの方法ですよ。

サイン4:歯が長くなったように見える(歯ぐき下がり)

「最近、なんだか歯が長くなった気がする…」。
そう感じたら、要注意です。

歯周病が進行すると、歯を支えている骨が溶かされ、歯ぐきが下がってきます(歯肉退縮)。
これにより、歯の根元が露出して、歯が長く見えてしまうのです。
一度下がってしまった歯ぐきは、元に戻すのが非常に難しいので、早めのケアが肝心です。

サイン5:歯と歯の間に食べ物が詰まりやすくなった

以前はそんなことなかったのに、最近よく食べ物が歯に挟まる…。
これも、歯ぐきが下がってきたサインの一つです。

歯ぐきが痩せて、歯と歯の間に隙間ができてしまうことで、食べ物の繊維などが詰まりやすくなります。
日常のささいな変化ですが、お口が発している重要なメッセージなんです。

歯科衛生士直伝!出血に負けない「続けられる」歯磨き術

セルフチェックでドキッとした方も、ここからが本番です。
出血に負けない、プロ直伝の歯磨き術をマスターしましょう。
ポイントは「続けられる」ことです!

NG例:「血が出るのが怖くて、優しくしか磨けない…」は逆効果!

セミナーなどで一番よく聞かれるのが、「血が出るのが怖いから、その部分は避けて磨いています」という声です。
そのお気持ち、すっごく分かります!

でも、実はこれ、逆効果なんです。
出血している場所は、「ここに汚れ(歯垢)が残っていますよ!」という歯ぐきからのサイン。
そこを避けてしまうと、原因である歯垢がずっと残ったままになり、炎症はどんどん悪化してしまいます。

出血しても、勇気を出して丁寧に磨くこと。
これが、改善への一番の近道なんですよ。

基本のキ!歯ブラシの当て方「45度」をマスターしよう

歯周病ケアで最も大切なのが、歯と歯ぐきの境目にある「歯周ポケット」の汚れをかき出すことです。
そこでおすすめなのが「バス法」という磨き方。

  1. 歯ブラシを45度の角度で当てる:歯と歯ぐきの境目に、毛先が向くように斜め45度で当てます。
  2. 軽い力で小刻みに動かす:歯ブラシを左右に優しく「シャカシャカ」と動かします。ゴシゴシは絶対にNG!
  3. 1〜2本ずつ丁寧に:歯を1〜2本ずつ、順番に磨き進めていきます。

このとき、毛先が歯ぐきの中に入っていくのをイメージしながら「クルクル」とマッサージするように磨くのがコツです。
最初は難しく感じるかもしれませんが、慣れれば無意識にできるようになりますよ。

歯ブラシだけじゃ不十分!フロス・歯間ブラシの重要性

実は、歯ブラシだけで落とせる歯垢は、全体の約60%と言われています。
残りの40%は、歯と歯の間に隠れているんです。

この歯と歯の間の汚れを落とすプロフェッショナルが、デンタルフロスや歯間ブラシ。
これらを併用することで、歯垢の除去率は80〜90%以上にまでアップします。

「面倒くさい…」と感じるかもしれませんが、1日1回、夜寝る前だけでも大丈夫。
歯ぐきからの出血は、歯と歯の間から始まることが非常に多いです。
ぜひ今日から取り入れてみてください。

【市販品レビュー】予防のプロが選ぶ!歯周病ケアグッズ3選

「どんな歯磨き粉や歯ブラシを選べばいいの?」という質問も、本当によくいただきます。
ここでは、私の強みである市販品レビューを活かして、予防のプロが選ぶケアグッズのポイントをお伝えしますね!

歯磨き粉の成分チェック!見るべき3つのポイント

歯周病ケア用の歯磨き粉を選ぶときは、パッケージの裏側にある成分表示をチェックしてみましょう。
注目してほしいのは、この3つの有効成分です。

成分の種類主な成分名期待できる効果
殺菌成分IPMP (イソプロピルメチルフェノール), CPC (塩化セチルピリジニウム)歯周ポケットの奥に潜む歯周病菌を殺菌する
抗炎症成分トラネキサム酸, β-グリチルレチン酸歯ぐきの腫れや炎症を抑え、出血を防ぐ
血行促進成分ビタミンE (酢酸トコフェロール)歯ぐきの血行を良くして、組織を修復する

これらの成分がバランス良く配合されているものがおすすめです。

歯科衛生士・井上佳奈の「推し」歯磨き粉はコレ!

たくさんの市販品がありますが、私が個人的におすすめすることが多いのは、上記の有効成分が複数配合されているタイプです。

例えば、殺菌成分の「IPMP」と抗炎症成分の「トラネキサム酸」が両方入っている製品は、原因菌に直接アプローチしつつ、今ある出血や腫れも抑えてくれるので、非常に効果的です。

また、ペーストの研磨性や発泡性もポイント。
じっくり磨きたい方には、研磨剤無配合や低発泡のジェルタイプがおすすめです。
ご自身の磨き方の癖や好みに合わせて選んでみてくださいね。

歯ブラシ&歯間ブラシの選び方と交換時期

歯ブラシは、ヘッドが小さく、毛先が細いものがおすすめです。
奥歯や歯並びが悪い場所にもしっかり届き、歯周ポケットを狙いやすいからです。
毛の硬さは「ふつう」が基本ですが、歯ぐきが特に敏感になっている場合は「やわらかめ」から試してみましょう。

そして、意外と見落としがちなのが交換時期。
歯ブラシは最低でも1ヶ月に1回は交換してください。
毛先が開いた歯ブラシでは、清掃効果がガクンと落ちてしまいます。
「まだ使えるかも」と思っても、定期的に新しいものに替える習慣をつけましょう。

よくある質問(FAQ)

最後に、皆さんからよくいただく質問にお答えしますね。

Q: 血が出ても、歯磨きを続けて大丈夫ですか?

A: はい、ぜひ続けてください。
出血は「ここに汚れが残っていますよ」というサインです。
むしろ、その場所を丁寧に磨くことで炎症が改善し、出血は2週間ほどで徐々に収まってきます。
ただし、2週間以上たっても出血が止まらない、または痛みが強い場合は、迷わず歯科医院に相談しましょう。

Q: 歯周病は自力で治せますか?

A: 歯肉炎という初期段階であれば、毎日の正しいセルフケアで改善が期待できます。
しかし、歯を支える骨にまで影響が及ぶ「歯周炎」に進行してしまうと、自力で治すことは困難です。
セルフチェックで気になるサインが複数あった場合は、一度プロのチェックを受けることを強くおすすめします。

Q: 電動歯ブラシは歯周病に効果がありますか?

A: はい、正しく使えば非常に効果的です。
手磨きと同様に、歯と歯ぐきの境目にきちんと当てることが何より重要です。
注意点として、電動歯ブラシはパワーが強いので、歯に強く押し付けすぎないようにしましょう。
私が指導してきた中には、逆に歯ぐきを傷つけてしまう方もいらっしゃいました。
力を抜いて、そっと当てるのがコツですよ。

Q: 妊娠中、歯ぐきから血が出やすくなった気がします。

A: それは「妊娠性歯肉炎」かもしれません。
妊娠中は女性ホルモンの影響で、歯周病菌が活発になりやすく、歯ぐきが炎症を起こしやすい状態になります。
つわりで歯磨きが辛い時期もあるかと思いますが、できる範囲でいつも以上に丁寧なケアを心がけましょう。
かかりつけの産婦人科医と相談の上、体調の良い安定期に歯科検診を受けると安心です。

Q: どんな歯医者さんを選べばいいですか?

A: 予防歯科に力を入れている歯科医院がおすすめです。
治療だけでなく、お口の健康を維持するためのクリーニングやブラッシング指導に時間をかけてくれる医院が良いでしょう。
担当の歯科衛生士がじっくり話を聞いてくれて、あなたに合ったケアプランを一緒に考えてくれるような、信頼できるパートナーを見つけてくださいね。

まとめ

歯磨き時の出血は、決して無視してはいけないお口からの大切なメッセージです。
今回ご紹介したセルフチェックで、ご自身の歯ぐきの状態を確認できましたか?

大切なのは、サインに気づき、「続けられる」正しいケアを今日から始めることです。

  • 歯磨き時の出血は、多くが歯肉炎のサイン。
  • 鏡を見て、歯ぐきの「色・腫れ・下がり」をチェックしよう。
  • 出血を怖がらず、歯と歯ぐきの境目を「45度」で優しく磨こう。
  • 歯ブラシだけでなく、フロスや歯間ブラシを毎日の習慣にしよう。
  • 歯磨き粉は「殺菌」「抗炎症」成分に注目して選ぼう。

8,000人以上の方の歯磨きをサポートしてきた経験から断言できるのは、「毎日の小さな習慣が、将来の歯を守る最強の武器になる」ということです。

まずは1本、自分に合った歯磨き粉を選んで、今夜から「クルクル・シャカシャカ」試してみてくださいね。
もし不安なことがあれば、いつでもお近くの歯科医院を頼ってください。
あなたの歯ぐきが、健康なピンク色を取り戻すのを応援しています!