最終更新日 2025年8月27日 by eliyeliy
「毎日ちゃんと歯磨きしてるのに、歯医者さんで『もっと磨きましょう』って言われちゃう…」なんて経験、ありませんか?
こんにちは。
歯科衛生士の井上佳奈です。
これまで延べ8,000人以上のお口を見てきましたが、実は多くの方が「磨いているつもり」になっているんです。
でも大丈夫。
この記事では、歯垢(プラーク)をごっそり落とすプロの技「スクラビング法」を、イラストたっぷりで世界一分かりやすく解説します。
私自身、矯正治療で歯磨きに苦労した経験があるからこそ伝えられるコツも満載。
「シャカシャカ」という簡単な動きで、あなたも今日から歯磨きマスターです。
一緒に「続けられる最強ケア」を始めましょう。
目次
そもそも「スクラビング法」って何?歯科衛生士が図解で解説!
まずは「スクラビング法」がどんな磨き方なのか、基本から見ていきましょう。
名前は難しそうに聞こえるけど、実はとってもシンプルなんですよ。
シャカシャカ磨くだけ!歯垢除去率が高いヒミツ
スクラビング法とは、歯ブラシを歯に直角(90度)に当てて、小刻みに「シャカシャカ」と動かす磨き方のことです。
なぜこの方法が歯垢除去に効果的なのか?
それは、歯ブラシの毛先が、汚れがたまりやすい「歯と歯の間」や「歯と歯茎の境目」にしっかり届くからなんです。
ゴシゴシと大きく動かす磨き方だと、毛先が歯の表面を滑るだけで、肝心な隙間の汚れは全然取れていない…なんてことも。
その点スクラビング法は、狙った汚れをピンポイントでかき出すイメージですね。
こんな人におすすめ!スクラビング法が最強の理由
スクラビング法は、動きが単純で誰でも習得しやすいため、基本的にすべての人におすすめできる磨き方です。
特に、こんなお悩みを持つ方にはピッタリ。
- 歯並びがガタガタしていて磨き残しが多い
- 矯正装置の周りの汚れが気になる
- 歯磨き指導で「もっと細かく動かして」と言われたことがある
- 子どもに正しい歯磨きを教えたい
私が12年間、たくさんの人を見てきて思うのは「続けられるケアこそ最強」だということ。
スクラビング法は、その第一歩として本当に優秀な磨き方なんです。
【実践編】イラストで完全マスター!スクラビング法の正しいやり方
さあ、ここからは実践編です。
3つのステップで、今日からあなたもスクラビング法をマスターできますよ。
一緒にチェックしていきましょう。
STEP1:歯ブラシの持ち方「ペングリップ」が基本
まずは歯ブラシの持ち方から。
グーで握る「パームグリップ」ではなく、鉛筆を持つように軽く握る「ペングリップ」が基本です。
なぜなら、余計な力が入りにくくなるから。
歯磨きは力任せにやると、歯や歯茎を傷つける原因になってしまいます。
優しく、でも確実に汚れを落とすために、まずは持ち方から意識してみましょう。
STEP2:当てる角度は「90度」が鉄則!
次に、歯ブラシを歯に当てる角度。
スクラビング法では、歯の表面に対して「直角(90度)」に当てるのが鉄則です。
毛先が歯と歯の間に「スッ」と入っていくのをイメージしてください。
私自身、矯正をしていた時、装置の周りは特にこの90度を意識することで、磨き残しが劇的に減りました。
STEP3:動かし方は「5mm幅」で優しくシャカシャカ
最後は動かし方です。
ここが一番のポイント。
歯ブラシを当てたら、5mm程度の小さな幅で、優しく「シャカシャカ」と動かします。
1本の歯を20回くらい磨くイメージですね。
絶対に「ゴシゴシ」と大きなストロークで動かさないでください。
あくまでも小刻みな振動で、汚れを浮き上がらせる感覚です。
【徹底比較】バス法とはどう違う?あなたに合う磨き方はどっち?
歯磨きの方法を調べると「バス法」という言葉もよく出てきますよね。
ここで、スクラビング法とバス法の違いをはっきりさせておきましょう。
どちらが良い・悪いではなく、目的によって使い分けるのが正解です。
目的で使い分け!スクラビング法 vs バス法
一番大きな違いは、歯ブラシを当てる「目的」と「角度」です。
下の表で比べてみましょう。
スクラビング法 | バス法 | |
---|---|---|
目的 | 虫歯予防(歯の表面の歯垢除去) | 歯周病ケア(歯周ポケットの清掃) |
角度 | 歯に90度 | 歯と歯茎の境目に45度 |
対象者 | 子どもから大人まで、すべての人 | 歯周病が気になる、歯茎が腫れている人 |
簡単に言うと、スクラビング法は「歯の表面をキレイにする」のが得意。
バス法は「歯と歯茎の溝(歯周ポケット)をキレイにする」のが得意なんです。
歯科衛生士が教える!今日のあなたにベストな磨き方
「じゃあ、私はどっちを選べばいいの?」と迷いますよね。
もしあなたが、
「特に歯茎に問題はないけど、しっかり虫歯予防したい」
「歯並びが悪くて磨き残しが気になる」
という状態なら、まずはスクラビング法をマスターするのがおすすめです。
一方で、
「歯茎から血が出やすい」
「歯医者さんで歯周病を指摘された」
という方は、バス法を取り入れると良いでしょう。
迷ったら、まずは基本のスクラビング法から始めてみてくださいね。
スクラビング法の効果を最大化!歯ブラシ選びの3つのポイント
正しい磨き方をマスターしたら、次は「道具」選びです。
どんな歯ブラシを使うかで、スクラビング法の効果は大きく変わってきますよ。
市販品を選ぶ時の3つのポイントを伝授します。
ポイント1:ヘッドは小さめが正解!
歯ブラシの頭の部分(ヘッド)は、大きいものより「コンパクトヘッド」と呼ばれる小さめのものを選びましょう。
なぜなら、奥歯の奥や歯並びが悪い場所など、細かい部分にまで毛先がしっかり届くから。
大きなヘッドだと、どうしても磨きにくい場所に当たりづらくなってしまいます。
ポイント2:毛の硬さは「ふつう」を選ぼう
毛の硬さは、特にこだわりがなければ「ふつう」を選んでください。
歯や歯茎を傷つけることなく、歯垢を効率的に落とせる、最もバランスの取れた硬さです。
「やわらかめ」は歯茎が弱っている方向け、「かため」は力が入りすぎて歯を削ってしまうリスクがあるので、基本は「ふつう」と覚えておきましょう。
ポイント3:毛先はまっすぐな「ストレートカット」
毛先の形にも注目です。
ギザギザしたものや山切りカットなど色々ありますが、スクラビング法には毛先がまっすぐ揃った「ストレートカット」が一番。
歯の表面に均等に力がかかり、安定して細かく動かすことができるからです。
迷ったら、一番シンプルな形の歯ブラシを選んでみてください。
【要注意】実は逆効果!スクラビング法のやりがちNG例
せっかくスクラビング法を覚えても、やり方を間違えると逆効果になってしまうことも…。
私がこれまで8,000人の方を指導してきた中で、よく見かけるNG例を2つ紹介します。
NG例1:力が強すぎる「ゴシゴシ磨き」
これは本当に多いNG例です。
良かれと思って力を入れて「ゴシゴシ」磨いてしまうと、歯茎が下がったり(歯肉退縮)、歯の根元が削れてしまう(くさび状欠損)原因になります。
歯垢は、そんなに強い力でなくても落とせます。
毛先が広がらない程度の優しい力で磨くことを、絶対に忘れないでください。
NG例2:動かす幅が大きすぎる「横磨き」
スクラビング法は「小刻みに動かす」のがポイント。
動かす幅が大きくなってしまうと、それはただの「横磨き」です。
横磨きでは、歯と歯の間の汚れは全く取れません。
「シャカシャカ」というより「ゴシゴシ」という音がしていたら、動かす幅が大きすぎるサインですよ。
よくある質問(FAQ)
最後に、皆さんからよくいただく質問にお答えしますね。
Q: スクラビング法は子供にも教えられますか?
A: はい、もちろんです。
動きがシンプルなので、お子さんでも覚えやすいのがスクラビング法の良いところです。
「一緒にシャカシャカしようね!」と、まずは楽しんでやってもらうのがコツ。
最後の仕上げ磨きは、大人がしっかりやってあげてくださいね。
Q: 電動歯ブラシでもスクラビング法はできますか?
A: 電動歯ブラシの場合は、基本的に自分で小刻みに動かす必要はありません。
歯に軽く当てるだけで、ブラシが自動で細かく振動してくれます。
ただし、製品によって推奨される使い方が違うので、必ず取扱説明書を確認しましょう。
Q: 歯磨き粉は使ったほうがいいですか?
A: 歯磨き粉は、フッ素など虫歯予防に有効な成分が含まれているので使用をおすすめします。
ただし、泡立ちで磨けた気になってしまうことも。
最初は歯磨き粉なしで一本一本丁寧に磨き、最後にフッ素を歯に塗るイメージで全体に行き渡らせる、という使い方も効果的ですよ。
Q: 矯正中でも本当にできますか?
A: はい、できます。
私自身が矯正経験者なので断言します。
装置の周りは特に汚れがたまりやすいので、スクラビング法で一本一本丁寧に磨くのが非常に効果的です。
ワイヤーの下など、磨きにくい部分は歯ブラシの角度を少し変えるなど工夫してみてくださいね。
Q: どのくらいの力で磨くのが正解ですか?
A: 歯ブラシの毛先が広がらない程度の、150g〜200gの力が理想です。
分かりやすく言うと「消しゴムで軽く字を消すくらいの力」ですね。
一度、キッチンスケール(料理はかり)に歯ブラシを押し当てて、力加減をチェックしてみるのもおすすめですよ。
まとめ
お疲れ様でした。
歯垢撃退の新常識「スクラビング法」、マスターできそうでしょうか?
最後に、今日のポイントをもう一度おさらいしましょう。
- 持ち方:鉛筆持ち(ペングリップ)で優しく
- 当て方:歯に対して直角(90度)に
- 動かし方:5mm幅で優しくシャカシャカ
たったこれだけです。
12年間、たくさんの人のお口を見てきて確信しているのは、「特別なケアより、正しい基本の継続が一番大事」だということ。
つまり「続けられるケアこそ最強」なんです。
この記事を参考に、ぜひ今日の歯磨きからスクラビング法を試してみてください。
あなたの歯と未来の健康を守る、最高の習慣になりますよ。